【Excel VBA】Application.MoveAfterReturnDirectionは安易に変更してはいけない

これはほぼ実話であり、私的記憶、一般人の分析、妄想による脚色により構成されています。

あとコレ書いてる人間はExcel VBAガチ素人なので、なんか変な点あったらご指摘ください。

〜ある日〜

https://gyazo.com/358930f02386517e9690dd93fdd07b56

https://gyazo.com/453e0cf7d58ca1e9f205a3ea59db2748

〜翌日〜

https://gyazo.com/e1065c3208a41fb9f5ef60bdf0bb1e49

何が起きたか

Excelで日本語入力中でないときにEnterキーを打つと、以下の挙動をすると思います

①原則、直下のセルに移動する

②直前のセル移動がTabキーでの横移動の場合、斜め下に移動する

上記の挙動は、データが縦並びの表を順番に編集していくことを想定しているものですが、

場合によってデータが横並びだったり、特定のファイルだけEnterキーの挙動を操作したい場合があるかもしれません

code:returnToRight

Private Sub Workbook_Open()

Application.MoveAfterReturn = True

Application.MoveAfterReturnDirection = xlToRight

End Sub

このファイルを開いてみると、Enterキーを押した際に選択セルが下ではなく右に移動するようになります

このマクロが一度発火すると、別のファイルを開いたときにも同じようにEnterキーで右で移動するようになってしまうのです……

Excelの再起動やパソコンの再起動でも治らないので、けっこう困りますね

なお上記のアニメGIFはぜんぶMac版のものですが、Windows版でもおなじ現象が起こります

なぜ

Excelのオプション→詳細設定にある「Enterキーを押したら、セルを移動する」の設定を直接弄るのと同じことをしているわけで、当然別ファイルの編集時にも影響を及ぼします

なおしかた

影響を受けたすべての環境で、下記①か②のいずれかをやればよいです

①Excelのオプションからもとに戻す

WindowsとMacでやり方が少し違います

Windows版はOffice 2013から2024年5月時点での365まで同じやり方が使えることを確認済みです

Windows版の場合：「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」→「Enterキーを押したら、セルを移動する」を「下」に

Mac版の場合：「Excel」→「環境設定」→「編集」→「入力後セル移動」を「下」に

②下記のVBAを実行する

code:returnToDown

Private Sub Workbook_Open()

Application.MoveAfterReturn = True

Application.MoveAfterReturnDirection = xlDown

End Sub

影響を受けたパソコンが多い場合は、②のコードをThisWorkBookオブジェクトに埋め込んだxlsmファイルを撒いて、開いてもらうのが楽かもです

どうすればよかったか

そもそもTabキーで横に行くんだからそれで良くね?というのは置いといて……

code:safe_returnToRight

Private Sub Workbook_Open()

Application.MoveAfterReturn = True

Application.MoveAfterReturnDirection = xlToRight

End Sub

Private Sub Workbook_BeforeClose(Cancel As Boolean)

Application.MoveAfterReturn = True

Application.MoveAfterReturnDirection = xlDown

End Sub

ファイルを閉じるときに設定を初期状態に戻してあげているわけですね

ただし、上記の対策も万全ではなく、同時に開いている別のファイルには影響が出ますし、Excelがフリーズなどで異常終了するとやはり後遺症が残るため、手動で戻す必要あり

他人に渡すファイルでは使わない方が安全かなーと思います